在庫・売上予測にAIを使い始めた中小企業の話——Excelデータから始める需要予測

データ活用

「季節によって在庫の過不足が出て、廃棄か欠品を毎回繰り返している」「売上目標はカンと経験で立てている」——中小企業でよくある課題です。

AIと過去の売上データを組み合わせることで、精度の高い需要予測・在庫計画が立てられるようになります。本記事では段階的な導入方法を解説します。

AI予測の前に:データが鍵

どんなに優れたAIでも、入力データの質・量が不十分では正確な予測はできません。最低限必要なのは過去1〜2年分の売上・在庫データ(月次以上)です。

Excelやレジシステム・POSに履歴が残っている場合は、まずそのデータをCSV出力しておきましょう。

段階1:ChatGPTで過去データを分析する

専門ツールを使う前に、まずChatGPTで過去データの傾向を分析させます。

季節性・トレンドを分析するプロンプト

以下は過去2年間の月次売上データです。
次の観点で分析してください。

1. 月ごとの売上の季節性(どの月が高い・低い傾向があるか)
2. 前年同月比での成長率トレンド
3. 異常値(急増・急減)があった月とその考えられる要因
4. 来年同月の売上予測(過去の傾向をもとに)

【売上データ】
2024年1月:1,200万円
2024年2月:980万円
(以下続く)
2025年1月:1,350万円
2025年2月:1,100万円
(以下続く)

在庫補充タイミングを判断するプロンプト

以下の商品の在庫データと売上傾向をもとに、発注タイミングと発注量の提案をしてください。

【商品A】
・現在庫:200個
・過去3ヶ月の月次販売数:150個・180個・200個(増加傾向)
・リードタイム(発注から納品まで):2週間
・最小発注ロット:100個
・安全在庫として1ヶ月分を確保したい

この条件で、発注すべきタイミングと数量を教えてください。

段階2:Excelで簡易予測モデルを作る

ChatGPTに予測関数やフォーミュラを作らせることで、Excelでも簡易的な需要予測ができます。

Excelで月次売上の予測を行うための式を教えてください。

【やりたいこと】
・A列に月(1月〜12月)、B列に実績売上が入っています
・過去24ヶ月のデータを使って、次の3ヶ月の売上を予測したいです
・季節性と線形トレンドを考慮した予測にしたいです

【使える関数の難易度】
中級程度(FORECAST.ETS関数などを教えていただけると助かります)

段階3:専門ツールの検討

データ量が増えてきたら、専門ツールへのステップアップを検討します。

  • Googleスプレッドシート + Looker Studio:無料で視覚化・トレンド分析が可能
  • Microsoft Power BI:月額1,360円〜。Excelデータを取り込んで高度な分析・予測が可能
  • アラジンEC・ZAICO:在庫管理専門SaaS。発注アラート・予測機能あり(月額数万円〜)

実際の事例

従業員18名の食品製造業(新潟)の事例です。季節商品の生産計画をこれまで「経験と勘」で立てており、毎年廃棄か欠品が発生していました。

過去3年分の月次販売データをChatGPTで分析し、季節ごとの販売係数(例:12月は平均の1.8倍)を把握。これをもとに生産計画を組み直した結果:

  • 廃棄ロス:前年比40%削減
  • 欠品による機会損失:前年比60%削減
  • 計画精度:主力3商品で予測誤差10%以内に改善

注意点

AIの予測は「参考値」として使う

AIの予測は過去データのパターンに基づいています。新型コロナのような想定外の外部要因・競合の動き・新商品の投入などは反映されません。AIの予測を「ベースライン」として、担当者の判断で上下に調整する運用が現実的です。

データの鮮度を保つ

古いデータだけで予測すると精度が落ちます。少なくとも月次でデータを更新し、定期的に再分析する習慣をつけましょう。

まとめ

在庫・売上予測のAI活用は、まず過去の売上データをChatGPTで分析させるところから始められます。「このデータの傾向を教えて」と話しかけるだけで、今まで気づかなかったパターンが見えてきます。

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